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2006年11月12日
ゲストインタビューその2・中川一男さん

ゆたかな自然に囲まれる、山あいの美川小学校区の学童保育所。
島根で、子どもたちの支援活動に熱心に取り組んでいる人がいる。
ぜひ、会って来られるといいですよ、という地元の方の推薦をいただいて、子どもフォーラムスタッフは、NPO法人りべろの代表、中川一男さんをお訪ねしました。
好天の中、中川さんたちが活動している地域のあちこちの自然豊かなフィールドをご案内いただきながら、お話を伺いました。
子どもの体験活動には、行政や学校などさまざまな運営主体がそれぞれに取り組んでいますが、ここでの活動に、個人の思いから始まってがゼロからかたちを産んでいった軌跡をみることができました。
中川さんには、ゲストのお一人としておいでいただき、ご自身の言葉で活動の経緯やその思いをお伝えいただきます。
詳しいプロフィールは→こちらから
●地域に根ざした体験活動
浜田市の市街地で、学校に行かない生活を選んだ子どもたちのための家以外の居場所として、フリースクールやグループホームを運営しています。
また、「週末遊び塾」という自然体験活動や民間学童保育の運営を通じて、子どもの支援活動を行う他、行政の委託事業で学童保育所を運営したりしています。
浜田市から委託を受けている美川小学校では、3年生までの30人を3人の指導員で対応しています。
こんな山村地域でも、子どもの時間の使い方や遊び方が変わってきていて、豊かな自然が身近にあるからといって、外で遊ばなくなっているんです。ゲームで遊ぶ子も多いし、多くの子どもがいろんな習いごとに通っているようですね。
自然体験活動は毎週末。市内の子どもたちとも山に、川に出かけています。
この川には、あそこに淵がありますね。いろんな生き物がいるんですよ。よく飛び込んで遊んでいますよ。子どもが怖がる?あ、大人の方が先に飛び込んでますから(笑)。
この道路脇には山からのわき水が出てるんですよ。ここを通る時は、必ず立ち寄ります。冷たくておいしいでしょう?
毎夏、子どもたちと20キロを歩く、という活動をやるんですが、ただ歩きたくて来る子もいる。着いたら、風呂に入ってアイスをたべるだけなんですけどね。。。
歩く道々の人がお茶を出してくれたり、快くトイレを貸してくれるのがうれしいんです。
●人々とのつながりを掘り起こす
浜田市内のお茶園のご主人が、私たちの活動を支援してくださっています。
茶畑に五右衛門風呂を置いたり、子どもの遊び道具を作るのが大変得意な方です。こちらから協力をお願いしたのがきっかけでしたが、最近では、「座禅を組もう」など自らアイデアを出してくれます。座禅は、「きっとあいつら嫌がるだろうから、絶対やらしたろう」と、わくわくしながら関わってくれています。
こんにゃくいもがとれるんですよ。五のつく日には、この道路沿いに市が立つんですが、そこに市に出すだけのこんにゃくを作っているおばあちゃんがいる。その人に、こんにゃくのつくり方を教えてほしい、とお願いしたり。
私たちは旧弥栄村のあちこちに遊び場にしているんですが、ここはどぶろく特区で協力団体の会員には、旅館をやっていてどぶろくをつくっていたり、四千枚の棚田を整備して、そこを使って酒米をつくったりしている人がいます。
クワガタの養殖や鷹匠、アイガモ農法をやっている人、野放しの養鶏をしている人など、地域には個人個人ですごい人たちがいるし、一芸を持った人がほんとうにたくさんいる。いろんな活動をしているグループもある。そこに自分で足を運んで話をして、基本的な考え方が同じであれば、活動を連携していけるようにしてきました。
●地域の資源を活かして〜大人も夢見る場
杵束小学校は2年前に廃校になった小学校ですが、ここなら雨の日でも活動できるし、たき火ができる。キャンプ場やツリーハウスもできるなあ、と考えているところです。
校舎は、ものづくりなどの文化的活動ができそうです。近隣に機織りや染め物の名人がいるんで、指導をお願いしようとしています。
和太鼓の練習場や音楽スタジオにも活用できますね。たたみの部屋は合宿ができる。。。
これらの活動は、大人が夢を見れる場所にもなります。というか、大人の遊び場に、子どもが一緒に入っている感じになっている。教育的にやろう、とか「子どものため」じゃなくて、本気で遊んでいる大人を見せるだけで、十分なんじゃないか、と思うんです。
ここでの活動に助成を受けることが決まって、パン焼き釜や炭焼き釜を入れる予定で、廃校の活用は、来年から本格的にやっていきます。
地域は食べ物も豊かですよ。自生するすもも、やまもも、くり、あけび、じねんじょ、いろんなものがとれます。果実はとてもおいしくてよく食べているんですが、これはお金はかかりませんよねぇ。採れたものを使って、アイスをつくってくれる人もいます。
●古民家での長期キャンプ
三隅町のこの古民家は、地元の人に借り受けています。この辺りには、たぬきやきつね、いたち、いのししが出ますよ。ここでは以前15才以上の人たちの自立支援のためのグループホームをやっていましたが、近くに働く場所が必要だと考えて、拠点は市内へ移しました。彼らは今、市内にアパートを借りて働きはじめています。
今は、この家は主に自然体験活動の拠点として使っています。
ここをベースキャンプにした29泊30日の長期キャンプには、ネットと口コミで人が集まっています。半分は広島からの参加ですが、遠くは千葉や熊本から来た例もあります。
参加する子どもは、リピーターが7割。長期キャンプは6年目ですが、6年ずっと来ている子もいる。15人定員を考えていますが、20人になることもあります。5人に対して1人の大人が配置できるようにしています。
参加する子どもの男女比は半々ですね。小学生から中学生まで。夏の間は、高校生や大学生のボランティアも来ています。
キャンプの間は、自分たちでごはんをつくってもらいます。途中で参加者の入れ代わりもあるので、メニューはだいたい前日に決めるんですが、当番3人が冷蔵庫の中をみて、あるものでつくる。自分がやるから大変なのをわかっているから、文句は出ません。
カレー、ハヤシ、丼物、てんぷら、コロッケ、ギョーザなどなど、子どもらは結構いろんなものをつくれるんですよ。
山を公園にしているグループや木工、紙すき、自然体験活動をしているグループなど、いろんなグループと連携してプログラムを行うことがあります。釣ったブラックバスはチクワにしてやる!などラディカルなことを考える面白い人たちもいるんですよ。。。
ここは海の遊び場で、長期キャンプの間、子どもたちに一番人気の場所です。キャンプには、みんな泳げる子が来ていますね。
この防波堤には、浅瀬もあって小さい子でも遊べます。
海に飛び込んで遊ぶのですが、いろんな高さの防波堤があるので、自分のレベルに応じて飛び込むことができるんです。飛び込みは、ひとつの通過儀礼でしょうか。子どもたちの間では、難易度の高い飛び込みができると、一目置かれるようです。子どもたち同士で生まれる、このタテの関係を重視しています。
海での活動は、ボランティアの大学生が夢中になって日焼けして大変な目にあったことも。日焼けも通過儀礼ですね。
●子どもにとってどうありたいか
長期キャンプの活動のプログラムは私が作っています。今日はこんなことができる、という1日1つのことを提案していますが、その日やることをみんなで決めてもらいます。やりたくなければ、みんなと同じことをやらなくてもいいし、くり返し同じことをやってもいい、ということにしています。普通の遊びをたんたんとやって一日を過ごす。
大人はその時、見ている。そして現実的な判断をするようにしています。例えば、やりたい気持ちはわかるよ、でもそれをやるのは予算的にムリなんだ、など率直に伝えます。
基本的なことですが、どの活動も子ども達だけで遊ぶことを前提に、けれど決して目を離すことがないように、人を配置しています。
学生時代、教育学を専攻していましたが、大事なことは現場で学んできました。
児童養護施設指導員をしていたことがありますが、施設でできる仕事には限界を感じていました。
その後、子どもを支援するグループを作って、勉強が苦手でわからなくなっている子どもたちのための塾や、自立支援のための活動を行ってきて、一昨年、NPO法人化しました。いろんな経験をしてきましたが、自分のやりたいことだけが残った今です。
NPOの活動には、5人の有給スタッフがいますが、自分自身の収入はまだまだです。
それから、長期キャンプなど、都会から来る子どもを受け入れることが多いですが、これからもっと地元の子どもたちのためになる活動にしていきたいです。
この活動を余暇の活動にすまい、空き時間の趣味でやる善意にはしない、と決意しています。
(2006.10.3訪問 記録・編集 森川千鶴)
投稿者 yoshizawa : 2006年11月12日 01:39