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2006年11月08日
関西探訪・大阪座談会記録(後編)

お招きしたみなさんとなじみ深い方々が、方々から駆けつけてくれた。
→前編では、
●ワークショップの可能性
●子どもの心に「熾き(おき)」をつくる
●おとなのありよう
について、言葉を交わしたもようをお伝えしました。
後編では、
●おとなも子どもも安心してかかわれるということ
● おとなどうしのつながり
●非日常から日常へ
●広がる「家族」
について話が深まっていきました。
本文は、続きを読む、でご覧ください。
●おとなも子どもも安心してかかわれるということ
--(森川) 先生自身が学ぶ場ってあるんでしょうか?
--(小野) センスを磨くには、どうすればいいんでしょうか?
松木 大人も子どもと同じように、正しいことばかりではなく、間違えることがあります。間違ったときに、事や人とどう向き合うかが大切です。トライ&エラーを自分の成長のプロセスの中で大切に扱うことが必要です。
センスを磨くというのは、表面には見えてこないよどみに沈んでいる本当の問題を発見する作業を、関係する人たちが顔を突き合わせてていねいにやっていくことで磨かれていきます。
そこでは、さまざまな「もの」の見方が学べるからです。そんな場(ワークショップ)を作ることが大切です。
--(森川) よどみに沈んでいるものとは、何でしょうか?
松木 子どもとの関わりから見えるものは、安心してあるがままの自分の存在が肯定される場が少ないこと。だから、自分の本来もっている力を発揮できないでいるのです。
そこで、ファシリテーションが大切ではないかと考えます。私たち大人が教えるのではなく、子どもどうしがかかわりを通して学ぶことのほうがすごい力を出せるし、本当の意味で学んでいる。子どもどうしの遊びの「体験」を「学び」にしていける場をつくっていきたい。
円満堂 小学校で「森の美術館」という活動を行っています。
長田の御蔵小学校(震災の一番被害の大きかった地区)は、阪神大震災後、まちなみは大きく変わり、新しく開発されたことで身近に自然を感じにくい場所です。そこで写真を撮って物語をつくるワークショップを行いました。
子どもたちは、普段気がつかない自然をみつけたり、すばらしい物語を作ったりしました。
しかし、「物語をつくる」この活動は、大人には理解されにくいものでした。
それはなぜか?物語には、一定の基準がなく評価が出来ないものだからです。でも、実はその評価できないものこそ子どもの本質的なところです。そことどう向き合えるのかが大切なんです。
私は、その活動の半年後、地域の行事に呼ばれていったら、金の折り紙で作った手作りのバッジをもらいました(その場で会場に見せていただきました)。このバッジが子どもとのつながりの証明です。
短い時間でした子どもとの関係は作られたのです。
松木 安心感って大切ですよね。共有感。それは、ワークショップだけではなく、授業でも同じ。ワークショップの体験から得たことは非日常のものではない。日常とつながっていけるんです。ただ非日常のこととして終わらさないことを意識しなくては。。。
(会場) 松木さんと学校へ出向いてワークショップをするときに、まず、今のクラスの状況について親指を使ったチェック方法で聞いてみることがあります。
大半の生徒が下向きのサイン。周りのようすを伺いながらクラスの中でどう見られているかを気にする子どもも多い。自分で示せない子もかなり多いです。
しかし、活動を通してちょっとずつ受け入れられたこと、葛藤し、心の冒険をクラスメートと共に経験したことで、クラスの安心が生まれ、終わる頃には指が上向きになります。この状態になってはじめてクラスとしてやっと学べる状態になったといえます。
学校の場があったかくて安心できること、自己肯定感を持てること、が大切だと仕事をしながら感じています。
(会場) 先生の子どもへの関わり方を身につけてもらうために、「学び方」を学ぶための取り組みとして、「学校外の人が提供する学びの場に直接見て体験する」ことを行っています。
去年、松木さんと子どもたちに体験的な学びの場を与え、その成果を測定してみました。すると、結果がクラスによって違うことがわかりました。その差はなにか。
活動後、担任の先生がクラスにどうかかわったかの違いでした。体験のあとも体験で得た学びを続けたクラスの値は上がっています。
確実に成果のある体験は、日常でも継続できたら子どもたちは変わる。
先生は、目の前で見せられて初めて動くことができる。知識はあっても行動に現すことは難しい。だからこそ、知識と体験をうまくつなぎ合わす場づくりが大切です。
体験しっぱなしではなく、きっちり現場で生かしてほしいと思います。
今年度は、マザーアース・エデュケーションの人たちに、ワークショップ後、日常の授業の中に入ってもらって、継続的に「学びの場」をつくることに力をかしていただいています。
(会場) 学校の先生とつきあってきて、先生自身が安心安全を感じる場が少ないことを感じます。だから家庭訪問・学級懇談会ワークショップなどの取り組みを行い、失敗しても大丈夫な場所を作って、少しずつ先生の自信を取り戻す活動を行っています。
● おとなどうしのつながり
--(森川) 親が、家庭教育をワークショップへのアウトソウシーングにゆだねてしまっているのではないか?とさえ思える例もあります。それも日常につながらない原因の一つかもしれません。
川口 一番子どもに近い大人は「親」。その親が、子どものとって望ましいかかわりを持てない例もよく見ます。生活のありようが子どもから現れます。そういうときは、子どもに対して行う非日常の体験を提供することに限界性を感じます。でも、そこであきらめてはダメ。
「熾き」の話のように、来た子どもたちにできるだけいろんな経験をしてもらい、自分の思いをしっかり伝えることができ、子どもたちが安心できる場になってほしいと思っています。
そして、子どもだけではなく親にも来てほしい。だからそんな仕掛けをしています。
「リトル ウルフ キャンプ」という取り組みは、自分を肯定的に見られない子どもたちの力を引き出したい、自分自身が大切な存在であるということを知ってほしい、負の自己表現を暴力ではない形で解消する方法を知ってほしい、と思っておこなっています。
この経験は、子どもたちの中で大きな体験になり、中学生になったときに、「またキャンプにかかわりたい」と戻ってきてくれる。
この子どもたちの心の中に生まれた「熾き」や私たちのメッセージを家庭の中でも受け取ってほしい。その思いから、参加者の家族を交えた説明会を始めました。
始めて2年目から家族とともに分かち合う場をつくり、そこで、親が不安に思うことを解消しています。分かち合うと同時に、日常に返す仕組みづくりをしています。
●非日常から日常へ
松木 小学生を対象にしたキャンプに参加する子どもたちが中学生になってからもスタッフとしてかかわる機会を提供できるようにしています。トレーニングへの参加と、1年目は表舞台に出ないで、裏方としてキャンプを支える役割を経験させ、また私たちもその間、彼らには大人にかかわるように接します。そのことがひとつの通過儀礼になるんです。
トレーニングを積んで子どもたちに関わる中学生の姿が、参加する子どもたちのロールモデルになり、憧れの対象になっているようです。このつながりに、大人も巻き込まれています。
こうしてワークショップが日常につながっています。
(会場) 皆さんの話を聞きながら「子どものことを考えているようで、やっぱり大人のことを考えているんだなぁ」と感じました。
僕は、通信制高校のサポート役で講師をしていますが、そこにいる子どもたちの表情が非常に寂しそうに見えるときがあります。
「それでいい」「今、ここの幸せ」を感じさせてもらえない子どもたちが多いように思います。
子どもたちに約束をやぶられることも多く、悩むことも多いですが、そんなときに、「99回裏切られても、次の1回を信じる。そこでしっかりと対応することが大切だ」と教えられたことがあり、なるほどと思いそのスタンスでかかわっています。
僕がかかわる保護者会では、ワークショップ形式のものをおこなっています。
というのも、保護者に笑っていてほしい。元気な大人でいてほしい。それは、子どもを家に笑って迎え入れてほしいと思うから。
センスとレスポンスって何かという話が出ていましたが、僕自身は五感じゃないかなぁ、と思っています。五感で感じたものを言葉でしっかりと返すことから、人は見守ってもらっているというメッセージを受けとめることができる。
それと第六感も大切。まあ間違えることもありますが。
最後に、横とのつながりの関係性が大切(家族、同僚、地域)だと思います。
●広がる「家族」
檜本 関係の切り結びが出来ない子どもたちが非常に多いけれども、「自分で生きていくということ」を自分自身が引き受けていく年齢が高校生です。高校という場所は、あったかくてもいいけれど、そこで、一人が生きていくという覚悟を教える。そのために失敗してもいい、安心感をもてる場にしたい、と今日は再認識出来ました。
松木 「ホーム」がキーワード。家族だけではない、自分のよりどころが大切です。
ワークショップに参加したすべての人は、「拡大家族」だと思ってしっかりつきあっていこうと覚悟しています。一回かかわった人たちとは、とことんかかわっていきたいと思っています。
ここにずらっと並んだパネラーのおじさんたち全員の家族と、私は日常でもかかわっています。これもワークショップから生まれた「拡大家族」なんですよね。
ワークショップは一つのきっかけです。そこから、広がっていく関係性がすばらしいと感じています。
川口 少し前にはなかった閉塞感が、今社会に広がっています。
そんな世の中で、自分がほっとできる場所あったら非常に楽ですよね。それは、自分の仕事であったり、さまざまな関係であったり。それが大切だと思います。
自分のセンターが地域にとっての「ホーム」になればいい。そこで手助けできる大人になってほしいし、いろんなひとがつながってくれる、社会につながる。
それによって、子どもや大人が楽になればいいなぁ。
円満堂 自分自身が住んでいる会社という世界は狭いです。その世界で働きながら、もう一つの世界で何かすることは、精神力と気力がないと出来ません。
でも、これからも、写真を通じて自分の感動を子どもに伝えたいです。
子どもたちはきっかけを待っています。それがあると子どもは変化すると知っています。
本来なら非常に狭い世界のはずだけれども、ワークショップを通じて世界は広がりました。だからしんどいとはいってられない。精一杯やっていきたいです。
--(小野) 拡大家族っていいなぁ。自分もその環境になり、みんなもつながっていく。だから自分もつくっていきたいなぁ。
--(森川)おいでいただいたみなさま。今日は、長時間にわたってお話を聞かせていただいて、ほんとうにありがとうございました。
ここで生まれた言葉たちを、島根のフォーラムにつないでいきます。
(後編/おわり)
(2006.9.27(水) 於:南風楽天〜大阪府高槻市)
インタビュアー:森川千鶴・小野三津子
記録:青田真樹 編集:森川千鶴
投稿者 森川千鶴 : 2006年11月08日 22:00